2007年10月9日(火)

[P2P][訪問]BitTorrent日本オフィスを訪問

10/5に、マイミクのTomoさんの企画でBitTorrent日本オフィスツアーに参加してきました。

http://toremoro.tea-nifty.com/tomos_hotline/2007/09/p2pbittorrent_cd14.html

オフィスツアーだから、オフィスでデモを見せてもらったり、技術紹介してもらえるのかなーと思っていたら、純粋な懇談会でした。寿司やもちよりのアルコールやおつまみで非常に盛り上がりました。ネットオンリーのお付き合いの方とも直接あえて楽しかったです。

ちょっと遅くなって申し訳ありませんが、その様子をレポートします。

BitTorrentの日本法人って?

BitTorrentの日本法人設立については先月報道発表がありました。

現在、BitTorrent日本法人のオフィスは秋葉原に程近いビルの一室にあり、総勢5名(顧問を含めなければ3名)で活動をしています。Skype日本オフィス立ち上げに関わったVinceさんもスタッフの一人です。今回初めてお話をさせていただいたのですが、とても気さくで、流暢な日本語が印象的でした。

そうそう、技術者を少なくとも3名募集とのことですよ。私は、今の給料よりも高くするから来いと言われたけれど、とりあえず断っておきました。私は貧乏でも今の環境が幸せですので(w

日本法人のオフィスとして秋葉原を選んだのは技術者受けがいいからとのこと。まあ確かにP2Pな人は六本木などよりも秋葉原の方が好むかもしれないですね。ただ人数も増えてくるとここでは手狭になるので近いうちに移転を計画しているらしいです。

プロトコルについて

BitTorrentは、ブラム・コーヘン(Bram Cohen 1975年-)さんにより開発されたファイル配信プロトコルで、巨大なファイルを多数のユーザへ高速に配布するのに適しています。BitTorrentは、同氏の設立した米BitTorrent社が提供する公式のクライアントソフトをはじめとして、数多く存在するBitTorrent互換のクライアントソフトに実装されています。

最近では、OperaやMozillaなどのWebブラウザの一機能として取り込まれたり、ルータなどのネットワークアプライアンスに組み込まれたりするなど、実装の幅が広がってきていますね。

BitTorrentのプロトコルはオープンで誰でも実装できるのに対して、コンテンツプロバイダ向けに用意された「BitTorrent DNA(Delivery Network Accelerator)」というクローズドなプロトコルが存在します。BitTorrent DNAの主な特徴は、

  • ストリーミングへの対応
  • 地理的に近いピアとの接続を優先させることによる帯域の改善

とのことです。私は従来のプロトコルがこれらの特徴に対応していないことが、BitTorrentの最大の欠点であると考えていましたが、これらがすべて改善されているとすれば、BitTorrent DNAはかなり強力な配信プロトコルとして位置づけられることになるでしょう。

日本法人としての活動

日本法人としては、BitTorrent DNAとOEM向けBitTorrentクライアントに関する事業を行っていくとのことです。主にB2Bに力を入れていく、ということになるんですかね。具体的な企業は明らかにできないですが、すでに多くの企業に声をかけています。BitTorrentという名前が出てこないにしても、コンテンツ配信の分野ではこれからのデファクトになる可能性は十分考えられます。

ISPのトラフィック規制

ところで、特に北米でISPによるBitTorrentの無差別転送規制が始まったというニュースが流れてきていますが、この件については

「仮にそんなことをしたらユーザが抗議するからISPにはそんなことはできないので、あり得ない」

と真っ向から否定していました。本当のところどうなんでしょう?

日本のISPにおいても転送規制が行われているとのうわさを耳にするのでそれについて聞くと、

「なぜ日本人は抗議をしないのか?」

と逆に質問されてしまいました。

具体的なデータがあるわけではないので確証は持てないですが、日本におけるP2Pトラフィックのほとんどは、まだまだ違法コンテンツの交換が多くを占めていると想像します。そのためユーザも規制されても文句が言いにくいのではないでしょうか。もしBitTorrentが今後正規コンテンツの配布に力を入れ、それがP2Pトラフィックの大部分を占めるようになってきたときには、いくらか状況は変わってくるかもしれないです。

ちなみに、BitTorrent株式会社は財団法人マルチメディア振興センターの「P2Pネットワーク実験協議会」のメンバーに名を連ねています。ISPの名前も多く入っているように見えた(株式会社インターネットイニシアティブ、NTTコミュニケーションズ株式会社、ソフトバンクBB株式会社)ので、ISPとP2P企業の話し合いの場がもたれたのかと期待していたのですが、聞いてみるとどうもISPの立場として参加しているのではない模様で残念。

ISPはP2Pのトラフィックを規制するために高価な機器を導入し、P2Pはそれを回避するためのさまざまな複雑なプロトコルを実装する、このようなP2PとISPのイタチごっこがこのまま続いてしまっては、両者がともに立ちいかなくなってしまうことは明らかです。お互いに歩み寄って、一定のルール作りや、新たなビジネスモデルを作っていかなければならないと感じています。

P2P界隈の方々との交流

今回のオフィス訪問は、P2P関係のblogで有名な方々も参加されていて、これまでネット上でしか付き合いのなかったP2Pのコアなメンバーに一度に直接会うことができ、オフレコな話もたくさん聞かせてもらえて、かなりの収穫が得られました。

特にP2P todayさんには「P2Pの最後の大御所にやっと会えることができた!」なんて大げさなことをおっしゃっていただけて、非常に恐縮。すみません、しばらく隠居していたので、もうちょっと頑張らないとだめですね。

参加者の方々の感想。

  • http://toremoro.tea-nifty.com/tomos_hotline/2007/10/bittorrent_7f50.html
  • http://muziyoshiz.jp/20071007.html
  • http://peer2peer.blog79.fc2.com/blog-entry-766.html
  • http://www.ce-lab.net/ringo/archives/2007/10/06/#a000925
  • http://blog.pasonatech.co.jp/yokota/105/4970.html
  • http://www.can.shacknet.nu/~ryo/diary/?date=20071005