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2005年6月26日(日)

[法律]気象情報の著作権

一般的な日本人にとって、毎日必要とされる情報といえば「天気」が挙がってくるだろう。特に梅雨の時期は今日は傘を持っていくべきかどうかを非常に悩む。無くてはならない情報だ。

そんなわけで、ちょっと個人的に、毎朝気象庁のホームページから自分の住む地域の予報のページのソースをダウンロードして、今日の天気の予報をHTMLの解析や変換を行って、自分の携帯へメールで送信する、というプログラムを書いてみた。perlの強力なネットワーク関連機能と正規表現を使えばあっという間にできてしまい、毎度ながら感動を覚える。

そこでちょっと思った。完成度が上がってきたら、完全無料で一般公開してもいいんじゃないかと。でもそれって著作権の問題が出てきそうなので、少し調べてみた。

気象庁はやんわりと断っている

気象庁ホームページ、「著作権・リンク・個人情報保護について

より引用。

「気象庁ホームページ」及びホームページ掲載情報は、日本国の著作権法および国際条約による著作権保護の対象となっています。

ホームページの内容について、私的使用又は引用等著作権法上認められた行為を除き、気象庁に無断で転載、複製、出版、放送、上映等を行うことはできません。

というわけで、これを見る限り一般にメール配信というのはダメそう。しかも、

自動巡回ソフト等による、定期的、自動的な気象データの収集等は、サーバーに負荷がかかる等の理由から、原則としてご遠慮いただいております。

とな! すみません。でも「ご遠慮」であって禁止ではないので、これからも常識的範囲内で使わせていただきます…。サーバーにめたくそ負荷をかけているわけでもないし、ブラウザの代わりにメールで閲覧してるというだけなので。

でもちょっと考えてみよう、もし1000人にメールで配信したら、気象庁サーバは999回分のリクエストの負荷を負わなくてすむんだ、いいじゃないですか!? これはぜひ、やるしかない!(無理やりなこじ付けだ…)

著作権法はどうなってる?

というわけで、さらに調べてみた。まずは著作権法を斜め読み。すると、こんな条文が。

(権利の目的とならない著作物)

第十三条  次の各号のいずれかに該当する著作物は、この章の規定による権利の目的となることができない。

一  憲法その他の法令

二  国若しくは地方公共団体の機関、独立行政法人(独立行政法人通則法 (平成十一年法律第百三号)第二条第一項 に規定する独立行政法人をいう。以下同じ。)又は地方独立行政法人(地方独立行政法人法 (平成十五年法律第百十八号)第二条第一項 に規定する地方独立行政法人をいう。以下同じ。)が発する告示、訓令、通達その他これらに類するもの

三  裁判所の判決、決定、命令及び審判並びに行政庁の裁決及び決定で裁判に準ずる手続により行われるもの

四  前三号に掲げるものの翻訳物及び編集物で、国若しくは地方公共団体の機関、独立行政法人又は地方独立行政法人が作成するもの

気象庁は「国若しくは地方公共団体の機関、独立行政法人」にあたるわけで、そうすると、気象庁が発する告示、訓令、通達その他これらに類するものは著作物であっても、権利の目的となることができない、って解釈が成り立つっぽい。すると、問題は、天気予報が「告示、訓令、通達その他これらに類するもの」かどうかということだ。

もう少し読み進めると、こんなのもあった。

(引用)

第三十二条  公表された著作物は、引用して利用することができる。この場合において、その引用は、公正な慣行に合致するものであり、かつ、報道、批評、研究その他の引用の目的上正当な範囲内で行なわれるものでなければならない。

2  国若しくは地方公共団体の機関、独立行政法人又は地方独立行政法人が一般に周知させることを目的として作成し、その著作の名義の下に公表する広報資料、調査統計資料、報告書その他これらに類する著作物は、説明の材料として新聞紙、雑誌その他の刊行物に転載することができる。ただし、これを禁止する旨の表示がある場合は、この限りでない。

明らかに気象庁の天気予報は「一般に周知させることを目的として作成」したものだろう。ということは、特に禁止されていなければ転載できそうだ。ただし「説明の材料として」という条件付き。説明の材料、か…。

んー、総括すると、法律的にはグレー。なにか良い判例とかないのかなあ。御存知の方、お教えください。

みんなの考え

著作権法を斜め読みしても埒が明かないので、みんなはどう考えているのかを調べてみた。

まず過激なのがここ。気象庁の予報データをRSSにしてしまっている!

kenbo.net : 天気予報RSSを公開

つまり、天気予報は「告示、訓令、通達その他これらに類するもの」である、という考えですね。

ただし、私の見解としては「国の機関である気象庁が作成・発表する気象データには著作権は無く、気象データは国民全員のものである」と考えております。もし、そうでないとしたら、税金によって作成された気象データは気象庁の役人や、気象庁にぶら下がっている財団法人のものでしょうか?そして、将来的に行われるであろう地震予知の情報も、有料で国民に販売するつもりなのでしょうか?

と、言い切っている。気持ちがいい。

続いてこちら(Webビジネスコンサルタントのネタ帳)は、本来、予報は無償で提供すべきだけど、政治的に難しそう、という立場。

もしも天気予報がXMLだったら - その1 XMLとは?

もしも天気予報がXMLだったら - その2 できない理由

2002年6月、気象庁は、気象庁のWebサイトで天気予報の掲載を始めた。 XML形式ではなく、ごく一般的なHTML形式のホームページだ。このとき、気象情報会社の各社から「官による民業圧迫にあたる」 といったクレームがあがり、ちょっとした騒動になったのだ。

さらに、「できない理由」のほうのコメントには、元民間天気屋という名前での書き込みがあり、非常に興味深い内容となっているので御参照を。

気象予報ビジネスと、それにまつわる闇の部分。このあたりに殴りこみをかけると、なんか面白いことができそうだ。

2005年6月24日(金)

[ブラウザ]MSNサーチツールバーの使い心地

だめだめでした。いや、デスクトップ検索はさすがにMSだけあってエクスプローラに表示が組み込まれてしまうので、Googleより使用感は良かったけれど、タブブラウザははっきり言って失望。FireFoxやSleipnirのほうが断然良い。

まず、タブの切り替えを無理やり実装しているのか、タスクバーやウィンドウのちらつきが激しくて気持ち悪い((ちなみにCtrl+Tabでタブ切り替えができるのだが、調子に乗って押し続けてキーリピートさせて遊ばないように。うちの環境では100%の確率でフリーズした。))。挙動からして、1つのウィンドウ内にタブを作っているのではなく、実際にはタブの分だけウィンドウを同じ位置に作っておいて、バックグラウンドのタブのウィンドウを非表示にしていて、タブを切り替えると非表示/表示ウィンドウを切り替えているだけと思われる。

それから、新しいウィンドウを開くようなリンクをクリックすると、新規タブができるのではなくて新しいウィンドウが開かれてしまう。これは致命的。タブブラウザにした意味が無いじゃん。

というわけで、俺的には次期Sleipnirに期待。作者さん、会社立ち上げて絶好調な感じだし。

2005年6月23日(木)

[思索]個人情報ってなんだ?

日本では今年の4月から個人情報保護法というのができて、一般人の(一部では誤った)個人情報に対する意識の高まりが見て取れるが、アメリカでは明らかにこれとは逆の動きがあちこちで見て取れる。

例の9.11の影響があることは分からないでもないが、それを理由にした、ブッシュの「何でもかんでもコントロールしてぇーっ、俺がトップだてめぇら」っつう短絡的思考がありありと見えたりしないでもない。

最近では例のパスポートに無線チップをつける計画が今も着々と進んでいる話とかがあるが((たとえば、これとか
http://hotwired.goo.ne.jp/news/culture/story/20050225202.html))、それは有名な話なので、今回はこちらを紹介。

ラディンの本を借りるときは注意。

The New York Timesの記事から。

http://www.iht.com/articles/2005/06/20/news/patriot.php

In some cases, agents used subpoenas or other formal demands to obtain information like lists of users checking out a book on Osama bin Laden.

ようするに政府が一般の図書館でビンラディンの本を借りた人をリストアップしてるのだ。これって怖い。

ちょっと興味本位でラディンの本を大量に借りたら、翌日自宅の前にCIAが張り込んでるかもしれない。

ほんと、怖い国です、アメリカ。

空に浮かぶ超広域監視カメラに注意。

んで、そんな魔の手が日本まで伸びてきているよ(?)、ってことのご紹介。

Adsenseで失態をさらけ出したGoogleだが((映画批評家・服部弘一郎のblogに事の顛末が事細かにある。
http://hattori.cocolog-nifty.com/brog/2005/05/google_adsense_1626.html))、Google Mapが気付いたら日本の詳細な衛星写真が見れるようになっていた。自分の実家がはっきりくっきり。これまで通ってきた小学校も中学校も高校も大学もはっきりくっきり。

これでもう、うそはつけなくなった。

男「ばか、そん時は一人でゲーセンに行ってたんだってば」

女「じゃあこの写真は何よ、ここに写っている女の人は誰!?」(Google Mapを見せる)

男「…」

もう、個人情報もへったくれもねぇ。

エロサイトによくアクセスする人はデスクトップ検索に注意。

明日、MSNサーチ ツールバーの日本語版が公開されるらしい。

http://japan.cnet.com/news/media/story/0,2000047715,20084684,00.htm

デスクトップ検索とIEのタブブラウザ化、それからフォームの自動入力が目玉。早速インストールしたいなと思うけど、デスクトップ検索って、大丈夫なんだろか。

何を気にしているかというと、これをインストールすると自分のPCのファイルの中身がインデックス化されて、高速に検索できてしまうわけで、そうするとこのインデックスってどう管理されているんだろう、と気になってしまうのだ。本気になったら、Microsoftは個人PCの中身を検索できちゃったりするんじゃないだろか。Googleのデスクトップ検索しかり。もちろん、そんなことしないよ、ってFAQには書いてあるけれど。

Microsoft respects your privacy. Desktop Search does not make your computer’s content accessible to Microsoft or anyone else.

しかしこのデスクトップ検索、どんなに奥深くに隠したファイルも、一発で検索できてしまうし、Googleのデスクトップ検索なら、これまで自分がアクセスしたサイトのキャッシュを保持して、それも検索できてしまう。

これで、パパがアクセスしたヤバめなサイトも、もれなくママがサーチ&ヒットだ!

でも、使ってみると便利なんだよねー、デスクトップ検索って。まじで。

そんなわけで、個人情報の保護と、便利・安全ってのはややトレードオフな関係にあるんだなあ、と実感する今日この頃。

これをトレードオフって片付けるんじゃなくて、同時に実現することって、できないのかな。

2005年6月14日(火)

[思索]RFIDの本質って何だろう

今回は特にどっかのサイトを引用するわけでもなく。

基本的に、effy的備忘録として使っていきたい。

今日は、RFIDの本質についてつらつらと。

RFIDってなに?

誤解を恐れずに言うなら、RFIDっていわゆる非接触でID読み取れちゃう技術で、読み取られる側をRFIDタグといって、商品にぺたぺた貼れるシール状のものから、牛に飲ませるでっかいチューブ状のものまでさまざま、読み取る機械側がRFIDリーダとか呼ばれたりする。

んで、最近RFIDに注目が集まってます

で、ユビキタスとかとくくりつけられてRFIDが取りざたされてたりするわけだけど、RFIDの本質っていったいなんでしょうかね。

商店の在庫管理が便利になるとか、児童の見守りに使えるとか何とか…

何でそんなことを考えているかというと、RFIDに関してはここんところ産官学あげて研究開発を非常にがんばっているものの、あんまり流行る気配がない気がする。実はRFIDって最近の技術じゃなくて、ずっと昔からある技術にもかかわらず、だ。

リスクとリターン

そしたら今日、あるシンポジウムで、野村総合研究所の方が、いいことをおっしゃってた。それは、

「リスクとリターンのバランス」

ふむふむ。

この前リスクについて書いただけに、みょーに納得してしまった。

つまり、RFIDってたとえば個人が身につけたら、個人を追跡する格好のデバイスになるわけで、プライバシー的にすげーよろしくない。これが「リスク」。

でもそれを多くの人に利用してもらいたいと思ったら、そのリスクに見合うリターンがなければならない。

でも、RFIDにはまだ「これだっ!」ていうすげー「リターン」がない気がする。

よーするに、RFIDにはまだまだ旨みがない。

言い換えれば、みんながこぞって使いたくなるサービスがない。

RFIDの本質

じゃあ、そういうサービスを作っちゃえ、ってことになるわけだけど、

ある新しい技術を使った何らかの新しいサービスを考えなければならない場合、

俺はその技術の本質に目を向けることにしている。

そうすると、その技術でしかできない何かが見えてくるからだ。

ざっとこんなところか?

  • 非接触でID読み取り可
  • 複数まとめて一気に読み取り可
  • IDの書き換えもできたりする
  • 砂粒みたいなタグもある=大きさはどうにでもなる

あ、でも、非接触でIDって、今のバーコードとかQRコードでも可能だよね。

とすると、一気に読み取れたり、ID書き換えができるってところか?

さて、この本質というか特質を生かして、どんなサービスが生まれるだろうか。

2005年6月13日(月)

[思索]アイデアの実現とその維持

個人的に「デイリーリサーチ」とかが好きなJapan.internet.comの、「ネットプライス 佐藤輝英氏:いいアイデアは同時に100人くらいが思いつく」より引用。

アイデアっていうのは浮かんできた瞬間に、国内だけでも100人くらいが同じことを、あるいは似たようなことを思いついているんです。

全くその通り。

逆に言うと、「このアイデアは俺が考えたんだ」と偉そうにいう人はあまり信用ができない。

自惚れているというか、それで安心してしまっているところがあって、その人の言うことの将来性に不安を感じることが多い。

まぁそれはそうと、読み進めていくと、編集部の一文に、激しく同意してしまった。

自分だけが思いつくアイデアなどはなく、そこから踏み込んでスピーディに実現する人と、アイデアだけで終わってしまう人、その実行力が決定的な差となる。

ではなぜ人は「これ、いい!」と思ったアイデアを即座に実現することができないのか。

そのアイデアを実現しようとすると、もしかしたら、仕事、恋人、家庭、自分の将来などを失ってしまうかもしれない。

そこにはそういった「リスク」が存在するのだ。

で、そこから導かれる結論って、かなり当たり前な話になってしまうのだけれども、自分に言い聞かせるつもりで書いておきたい。

「アイデアを実現できる人とは、リスクに対して果敢にかつスピーディに挑戦できる人のことである。」

さらに、同サイトの「グリー 田中良和氏:何もしないリスクもあると思います」より。

「何もしないリスクもあると思います。みんなが競争している中で自分の価値を作っていかないといけない時に、現状維持というのは自分の価値が相対的に目減りしているわけですよね」。

個人的にはそれをリスクとは言いたくはないのだけれども、この言葉から学ぶことは多い。

リスクを乗り越え成功しても、それに甘んじていてはいけない。何もしないということは、競合他社との競争から脱退するということに他ならないのである。

ある意味、下りのエスカレーターを一生懸命登っているような厳しさがあるわけで(笑)、貪欲にさらに上を追求して上り続けていかなければ、最終的にはスタート地点に押し戻されてしまうのだ。

アイデアをリスクを越えて実現し、さらにそれを高めていく、そういった行動が常に維持できるだろうか。

2005年6月10日(金)

[Google][思索]Googleの存在意義

全体的にやや批判的エントリーが多めな「跳箱」さんの「いや、そりゃバブルだろ。」より。

極端なことを言うと他人が作ったコンテンツの索引作るだけで777億ドルの時価総額が実現できるとは恐ろしい時代になったものです。

う、そりゃ極端すぎだよ、って、俺も批判的だし(笑)。膨大なコンテンツに対してユーザが簡単にしかも快適にアクセスできるための仕組みを作るってことが非常に難しいわけで、それをある程度実現しているところにGoogleの価値があって、さらに、多くの場合その「他人」ってのも、索引を作ってくれることで自分のコンテンツにアクセスしてくれる人が多くなることを喜んでいるはずで、だからこそ、SEOとかってのが事業として成り立っているわけで、そういったことをはじめとするさまざまなGoogleの存在意義や価値が777億ドルという時価総額に現れているのではないか。

と、書いていて、ちょっと思った。肯定的な意見も書いてみよう。

しかし、確かにGoogleがこれからもこの調子でずっと成長し続けるとはちょっと考えにくい。例えばGoogleの存在意義の1つである「コンテンツにアクセスしやすくすること」という一点に限っていっても、「キーワードを入れて検索する」という方法以外にもいろいろやり方はあるわけで、いつの日か奇抜なアイデアがよそからポンと出てきて大量のユーザがそっちに流れてしまうってこともありえなくはない。

さらに言えば、これは憶測でしかないけれど、古きよき時代のインターネットを使っていたユーザとは異なり、後から大量にインターネットの世界に入ってきた人たちには情報を得るということに対して受動的な人が多いのではないだろうか。キーワードを積極的に入力して様々な情報を自ら得ていこうと思うよりも、まるでテレビを見ているかのように、2ちゃんねるや、まとめサイトや、いろいろなblogを「眺めて」楽しんでいる人が圧倒的多数なのではないだろうか。

そういう意味では、Google Newsって、わりといい線いってるのかもしれんな。

個人的には、テクノラティのトップ100とかに期待。まだ精度は悪いけどね。

2005年6月9日(木)

[つぶやき]お初です

前々からずっと気になってたんだけど、ついに「はてなダイアリー」を始めることにした。

なんで気になってたかっていうと、俺が「このアイデアはいけるかも!」とか思って、どこかやってないか調べてみると、たいてい「はてな」がつい最近はじめました見たいなことを書いていたりすることが多かったからだ。「くぅーやられたー」と思うとともに、「はてな」を作ってきた人たちはすごいなと尊敬するのだった。

んで、つい先日、この記事を読んで、おぉ!と思った。

CNET Japan はてながはてながこだわるWebサービス提供の本音より

はてなは、Web2.0の示すウェブサイトの形を目指して、Webサービスの提供に力を入れたいと思っています。「サービスであると同時にプラットフォームでもある」という技術的なポイントは、今後のインターネットサービスの面白さのひとつの要件であり、ネットワークの性質を効果的に利用するための優れたアプローチであると感じています。

まさにそのとおりだね。

今後はこういう流れになるに違いない。

というわけで、まずははてなダイアリーをサービスとして使ってみて、次にプラットフォームとして使いこなしてみよう。そこから何か面白いモノができあがってくるかもしれないから。